サムライ的救済~映画「バベル」の感想。など、「ガンダムSEED DESTINY」のアスランをメインに、独自に血液型考察もやってる管理者が語る、煩悩と妥協まじりのフリートーク♪

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サムライ的救済~映画「バベル」の感想。

最終改訂 06/08 18:00
このところ、健康面でトラブル続きで観れないかも・・と思ってたけど、
なんとか滑り込みで観ることができました。(^^;

人はけっして神にはなりえない。
全能神には程遠い、誰もがまだまだ未熟な、不完全な存在にすぎない。

古の昔、愚かな人間達の神をも恐れぬ傲慢な行いに下された罰は・・。

かの有名な旧約聖書のバベルの塔をモチーフにしたお話。

どこにも全然まったく、誇張やら格好良さのカケラもない、
ごく普通の平凡な暮らしを営む人々の、
まったく飾りのない等身大のお話である。

正直、全部見終わって、「え? もうこれで終わりなの?!」って、
感じでした。
少し呆然としながら、ノスタルジックな哀切を帯びたギターの音色と共に、
EDのクレジットを眺めつつ、ストーリィを頭の中でひとしきり反芻して
いたら、いつしか涙がじんわりと・・。

なんというか、じわじわと心にしみこんでくる余韻がありますね。
本当に「ごく普通の人間の織り成す悲哀を描ききった」という点では
確かに評価できるかなと。
≪↓↓↓≫(ネタばれ注意!)

とにかく、ひたすら等身大。
何の誇張も虚飾もなく、淡々と綴られてゆく物語だからこそ、
紛れもなく、これはもしかしたら誰にでも起こりうる話として、
観る者により一層の真実味と重みを感じさせてくれる。

事件はアフリカの北部モロッコから発生し、それが遠くメキシコ、日本へ
と意外な縁(えにし)でもって波及してゆく。

まったく異なる文化を持ち、暮らしぶりも随分違うけど、そこに描かれて
いる「等身大の人としての姿」はどこでも同じ。たいして変わらない。

人も世界も複雑なようでいて単純で。

地域と民族、文化による大きな隔たり・違いをまざまざと描きながら、
その一方で、人間であれば誰もが共感し、持ちうる普遍性をも同時に
描き出している。


普通に起承転結で終了する話じゃなくて、ジクソーパズルのように各場面
ごとに散りばめられた意味と背景を自分なりに咀嚼してゆくうちに、
なんともいえない人の生=人生の妙味というものを味わうといった感じ。

・・人はどうしようもなく愚かで。

それゆえに時々取り返しのつかない過ちを犯したりもするけれど、同時に、
未熟で不完全であるからこそ、それゆえに愛すべき存在でもある・・。

それはおそらく、どこの民族、どこの人種でも変わらない。

たぶん、そういうことに気付かせてくれる作品なのだと思う。


始まりは戯れに放たれた一発の銃撃から~モロッコの少年の若さと無知・
無謀が、当事者にとっては只ならぬ深刻な事件を引き起こす。
そしてほんの小さな接点から、やはり銃撃事件により、心に深い傷を負い、
出口を捜しあぐねていた日本の少女にささやかな救いをもたらす。


この作品では、国を越えて様々な親子の姿が描かれている。

息子が罪人と知ってもなお、見捨てずに逃がそうとする父親。
息子の晴れの結婚式に、どんなことをしてでも駆けつけずにはいられなかっ
た母親。

その行為が後にどんな結末を招くかも知らず・・。

神ならぬ人の身であれば、即座に真実を見い出すことができない。

モロッコでもメキシコでも、どちらの警官にも相対する者が真実、
罪深い者かなんて、正確にははわからない。

そしてその愚かさゆえに、罪なき者の命を危険に晒し、または奪い取る
ことになってしまう。


一方、悲劇だけでなく、ささやかな救いもまた描かれている。

人間万事塞翁が馬。・・本当に、何が幸いするかわからない。

一時は死と背中合わせに陥りながらも、互いに極限にまで追い詰められた
ことで、すれ違っていた夫婦は絆を取り戻した。

また、遠く日本の大都会の只中で、言葉と情報の洪水に晒されながらも、
常に一人きりの孤独に陥っていた聾唖の少女チエコにも。

母の事件とは無関係に、偶然訪れた捜査員とのふれあいで。

同じ警察関係者でも、母親の件を詳細に知る人間よりも、かえって何も
知らぬままに接した捜査員の方が彼女の心に小さな変化をもたらした。


愚かさゆえに、それまで築き上げてきたかけがえのないものを失う人間が
いて。
その一方で、己れの愚かさを十二分に知ったうえで苦悩し、もがき、
そこから何かを得てゆく人間もいる。

言葉の壁、民族・人種の壁、障害という肉体機能の壁、
だが、それらを越えてなお、人の絆は確かに存在する。

そうしたことに目を向けるとき、まったく人はどうしようもないくらい愚か
だけど、同時に愛すべき存在でもあると教えてくれる。

とても大きく深いテーマを内包した、混沌とした作品なので、おそらく
一度観たくらいでは、この作品のすべてを消化することは難しいと思う。
(私自身も、正直どの程度理解できたか、怪しい気がするし‥)

また一度観たけれど、残念ながらいまいち心にくるものがなかった人も、
できれば5年後、10年後、多くの出会いと別れや経験を重ねた後、また
再び観てほしいです。
きっと前に観たときよりも多くの発見があり、それで自分の成長も知る
ことができると思うから。


≪その他いろいろ≫
たぶんに「銃社会への警告」。

もしくは、弱き者、己れを御しきれない者が力や凶器を手にしたばかりに
起きる悲劇とか。
暗にそうしたメッセージが含まれているような気がする。

銃にしろ、刃物にしろ、無闇に人に向けてはいけない。
自分にとっては、ほんの遊びや冗談のつもりにしろ、向けられた人間には、
その違いがわからないのだから。
モロッコの父親は、まず息子にそれを教えておくべきだったように思う。


物質的豊かさと心のありよう。
アメリカ人にしろ、日本人にしろ、物質的に恵まれた環境にいる者達は
かえって普段の日常では心の交流が貧しくなってしまっているようで。

物の豊かさが、そのまま心の豊かさには繋がらないことをも端的に示して
いるのかな。

貧しいけれど、人の輪と交歓で満ちていたメキシコでの結婚式と、同じ
ような人の洪水の中にいながら、誰とも通じ合えない孤独感が加速される
日本でのディスコのシーン。

なんであんなに双方のシーンが延々と流れるのか・・不思議に思ったけど、
あれはたぶん、対比になっていたのだと思う。


同じ人間としての共感。
救済編の一幕として、モロッコの現地ガイドの男性とアメリカ人の夫婦と
のシーンがさりげなく良かった。
特に待ちわびた救護ヘリにようやく乗り込む前に、お礼のお金を手渡そう
とするけれど、ガイドの男性は受け取らなくて。
報酬を得る為じゃなく、同じ人間として、妻を子を持つ男として、できる
だけのことをしてあげただけ。
礼金を手にしなくても、純粋に人としての安堵と喜びに満ちた表情で
見送る姿が印象的だった。

それと、イケナイことと知りつつ、親を庇うためなら、警察にだって平気
でウソをつくのは、どこの国の子供も同じなのよね。


サムライ的救済~チエコ。
日本人が観ても、あまり違和感のない日本人描写。監督は外国人だけど、
その辺は実に上手い気がした。
世界から見た日本人といえば、サムライやハラキリのイメージだったり
するけど、これまた誇張しすぎでない、等身大の日本人として、割り合い
まともなイメージで描いてもらえてる気がした。

この映画の中での救済パートとして、チエコの一連のシーンが大きな部分
を占めているのだけど、
肝心の彼女の行動の理由がラスト近くまで謎に包まれたままなのがね。

彼女が最後に刑事に渡した手紙の内容も、まったく明らかにされていない
ので推察するしかないのだけど。

おそらくは、母親の自殺の要因が自分にもあると思っての「自責の念=
一種の自虐行動」へ駆り立てていたのだと思うのだけど。
自分に罰を与えてほしかったのかな?

ライフルなど持たない彼女にとっての唯一の武器といったら、若い女と
しての肉体しかない訳で。
ひたすら、それのみを切り札に突飛な行動を繰り返していたように思う。

相手が刑事というのも、「罪深い自分に罰を与えてくれそうな」という
視点で見ると納得かも。
そして、その刑事がいかにもチエコをサムライ的に憐憫の情で遇する下り
がこの監督なりに「日本人バージョンでの救済」となるのだろう。

結局、彼女を自虐行動に駆り立てた母親の自殺も銃によるものだったと
いう顛末。

銃繋がりで、父親が遠い異国の地でお礼にと手放したライフルが巡り巡っ
て犠牲と騒乱を経て、娘にささやかな救いをもたらしたというのが少々
皮肉っぽいけど、それこそがこの混沌とした世界の妙味なのかと・・。

ちなみにEDでおもわず涙したのは、映画の中の罪なき少年の死に顔と
記憶の奥底の自分の父親とのそれが重なってしまったから。
あと、チエコの葛藤の要因・・母親の遺体の第一発見者として、凄惨な
現場をつぶさに見てしまったその背景やら心情やらを割りとリアルに
想像してしまったからでしょうね。

個人的に自分に関連づけて考えられる人間はいいけれど、もう少し
チエコに関しては、詳細な情報が欲しかったかな。

本当に、非常に地味ですけど、じわじわと効いてくるお話ではあります。


なお、ニュースで話題になったディスコでの光の点滅シーンは
確かに異常に長くて辛かったです。(なんとか薄目でやりすごしました)
その前のブランコのシーンでも既に目が回りそうになったし。(^^;

全体的にシーンごとの映像のつなぎ方は絶妙で、音楽的にもなかなか
いい味が出てると思いました。
場面ごとに時間経過と話の順序はいくらか前後するけど、時折り流れる
事件のニュース映像とか、アングル違いのまったく同じ電話のシ-ン
とかも演出としては秀逸でしたね。
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このエントリーにお寄せ頂いたコメント

相変わらずの素晴らしい考察に拍手です。
モロッコ編で、気になったことが一つだけありました。
部屋を貸してくれた親子との温かい交流はとても心に残るところですが、置き去りにしたツアーのメンバーとブラピのやり取り。ブラピを置き去りにした彼らの言動は愚かだろうか・・・などと考えて、葛藤にゆれていた私です。

愚かな人間。誰もが未熟で未完成だから誰しも”許し許され”、変われるのだろうけれど、悔い改めないものを愛しくは思えない心の狭い私です(^^;)
たいむ at 2007/06/08(金) 19:01 | URL

テーマが相互理解というので、それなりに気合を入れて観ましたが、正直ここまで飾りっ気のない作風はけっして好みと言い難く・・過分なお言葉にいたく恐縮するばかりです。(^^;

> ブラピを置き去りにした彼らの言動は愚かだろうか・・・

たいむさんってば、さすがA型♪ ホント細かいとこまでしっかり気にしつつ見ておられるところが。(笑)
そうですね‥あの時点ではテロリストに皆殺しになるって、勝手に恐怖を募らせてたみたいだから、仕方ないのかも・・。ただ、後で事件の全容を知った時点で赤っ恥ていうか、大層罰の悪い思いはしたでしょうけど。

> 悔い改めないものを愛しくは思えない・・

いえいえ、それはそれで当然ですよ。「何でもホイホイ許しちゃいましょう」じゃなくって、自分の非を認め、反省ができて初めて許すべきであって、悔い改めないうちから許してしまったら、単なる甘やかしになりますし。

「愚かだけど愛すべき存在」=えっとですね、私的には特に作中で重すぎる代償を支払う羽目となったモロッコ人の父や弟、メキシコ人の乳母を指したつもりです。(^^;

とかく悪が横行することのないよう、善悪のケジメはきちんとつけてしかるべきかと。たいむさんの感覚はいたって真っ当と思えるので、今後も強くあってくださいね。d(^_^)
風海(管理人) at 2007/06/08(金) 23:52 | URL

こんにちわ。
『カリスマ映画論』の睦月です。TB&コメントありがとうございました。
しばらく旅に出ておりまして、ウチにいただいたコメントにお返事できておりません。お許しを・・・。

読み応えのある素晴らしい記事、興味深く拝見させていただきました。いただいたコメントの中で・・・

≫私は1回の視聴では、とてもここまで汲み取るにはいたらなかったのですけど、

とお書きいただきましたが、ここまで思慮深いレビューを書けるというのは素晴らしいことと感じます。

大変多くの思いや感情が溢れ出る映画だったのですが、それを言葉にして吐き出すことが難しい1作でした。

≫それゆえに時々取り返しのつかない過ちを犯したりもするけれど、同時に、 未熟で不完全であるからこそ、それゆえに愛すべき存在でもある・・。

まさしく・・ですね。
人間は愚かで悲しい存在であるけれど、それでも、そこに希望と愛情を見出そうとするアレハンドロ監督の誠意と強い思いを感じる作品でした。私にとっては・・・今年のナンバー1になりそうな作品です。

では今後ともよろしくお願いいたします!

睦月 at 2007/06/15(金) 08:35 | URL

こちらこそ初めまして♪ ご多忙のところ、わざわざお越し頂けただけでも有難いのに、とっても嬉し恥かしなコメントまで・・ホントに感謝に絶えません。(^^;

血液型等にこだわり、常日頃、人間のパーソナリティの分析などを趣味にしている人間だからこそ、ようよう感想らしきものをひねり出せましたけれど、10年前の私であったら、きっと半分も理解できずにスルーしていたことでしょう。(^^;

とにかく私なぞより、睦月さんの書かれた感想の方が作品のテーマを上手く捉えつつ、情緒的、詩的な文章で綴ってらして、いたく感動いたしました。(*^.^*)

> 孤独な魂を抱え、苦悩に悶えるこの物語の人々は‥私でありあなただ。

ホントに、けっしてこれは他人事じゃ済ませられないお話なんですよね。ただ、人種のるつぼたる欧米諸国に比べたら、日本は単一民族ですから、特にこういうテーマ(言葉や人種の壁)は日本人にはダイレクトには伝わりにくいし、受け止め難いのでは?と思います。(^^;

> 人は人を求め、人は人でしか救えないのなら‥誰かの心を受け取り、
> 誰かに思いを届けることが不可能であるはずはない‥

この「人は人を求め、人は人でしか救えない‥」の部分、おそらくは、これこそがこの作品に込められたメッセージではないかと思います。
お若いのにここまで核心めいたことをさらりと書けるなんて、たいした感性と洞察力だなと感心した次第です。(*^.^*)

こちらこそ、これをご縁によろしくお願いいたします。<(_ _)>
風海(管理人) at 2007/06/15(金) 22:42 | URL

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このエントリーにお寄せ頂いたトラックバック

重い。非常に重たい。表面上だけ見てしまうと不愉快で不可解な印象しか残らない。正直なところ、白旗宣言。どれも、ひょっとしたらありえそうな光景なだけに、それぞれの登場人物の気持ちは分らなくはない。分らな
TrackBacked by たいむのひとりごと at 2007/06/08 18:34

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